Kurume・Tosu Internet Conference
「The Journal of Internet」 Volume4,2000 || H O M E || || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10 || 11 || 12 || 13 || 14|| 15
ローカル情報会社15年の軌跡
情報基盤協議会の平成12年度表彰を受けて
久留米・鳥栖広域情報 代表取締役専務
坂田 隆之
Takayuki Sakata
東京のインペリアル東条会館での表彰式
郵政省の外郭団体である情報基盤協議会平成12年度個人表彰を情報通信月間(5月〜6月)に受賞しました.皆さんの日頃からのご指導によるお蔭だと、感謝しながら喜んでいます。
受賞の理由は、@(社)九州テレコム振興センターの役員としての活動A全国各地で行った啓蒙講演会活動B開発したシステムの事業化活動等によるものです。
昭和60年に情報会社の設立事務を行うために銀行から出向辞令を受けて、まず出資金の募集に走り回りました。会社設立後に試験研究のために政府資金の出資を仰ぐことになり、基盤技術研究促進センターから1億円の出資を受けましたが、これが使用額に応じて小間切れ出資をするために、3年の間に6回の増資事務をしました。(現払込資本金2億77百万円)その後、会計検査院の監査を受け一連の処理が終わりましたが、この間に作成した書類は1メートルに及びました。少ないスタッフでの書類作りは、用語が新しいだけに大変苦労しました。
同時に遭遇したのが、会社の収支問題です。試験研究費を申請どおりに支出すると資金は無くなり、決算は赤字となりました。2億円の繰延資金勘定を抱えて社外取締役のお叱りを受け、「なんとかしろ」と言われても、画期的な策があるわけでもなく、行政施策に添った業務の開拓に心を砕きました。
当社の試験研究のテーマは次のとおりでした。
(1)高度なオーダーエントリーシステムの研究
(配車計画支援システムを開発)
(2) 詳細なデータベース検索システムの研究
(TFC会不動産情報システムを開発)
(3)ネットワーク在宅学習システムの研究
(学年別5教科の小学生教室を開発)これからの研究開発はいずれも技術評定をクリアして、実務上でも全国で業界トップクラスの評価を受け活用されました。私の情報会社勤務も15年になりましたが、その間の時代の推移は激しく、メディアもビデオテックス(キャプテン)からパソコン通信、そしてインターネットへと3転し、「ニューメディア」という言葉も瞬く間に過去のものになり、今は「マルチメディア」と言っていますが、これも「IT革命」と言わないとNOWくないように変わりました。
講演会では二つのことが、深い思い出としてあります。昭和61年11月 北海道電気通信管理局からの依頼で、札幌へ行きました。私は前日に着いていましたが、夜に大雪が降り、もう一人の講師の郵政省課長は、飛行機が千歳空港上空まできましたが、降雪で着陸できず東京へ引き返しました。「坂田さん、二人分の時間を埋めて話してください」と言われました。
もう一つは、東京の半蔵門にある東条会館で「配車計画支援システム」の発表会を当社の主催で開催したことです。キリンビール福岡工場(甘木市)のトラック輸送を、近在の運送会社の空車を利用して配車するシステムですが、開発ソフトを全国に販売するためのデモンストレーションの講演会です。講演会にはキリン物流九州の社長に利用状況を話していただくのが一番効果があるので、頼みに行きました。冬でしたが行く前に「頭から水を被り祈願して」身を清めて依頼をしました。社長の出演承諾は取れましたが、私は悪性の風邪をひいて入院し点滴を続けて、ようやく講演日に間に合わせました。
郵政省のテレトピア構想にもとずくビデオテックス(双方向通信)の同業者が、当初は四十数社ありましたが、現在活動しているのは十数社になってしまいました。当社は幸い久留米市のご指導によりインターネットに切替えが出来ましたが、経営に行き詰まった会社が多いのです。新聞が双方向通信に取って替わると思われていた当時ですから、各社とも地方新聞社からの出向が多く、この中で私の心を支えていたのは、銀行出身者として経営の安定を図り、他社には負けられないという気持ちでした。
とは言ってもメディアの経営は厳しく、通信業界は変わり身が速いので、時代の波に翻弄されながら、手足をバタバタさせて必死に泳いでいるところであります。バックホーン回線の高速化やダイヤルアップ回線の増設に加えて「IP接続サービス」「無線インターネット」など種々の対応を迫られています。皆様の日頃からの信頼を壊さぬように、今後とも社員とともに努力して行きたいと考えています。
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