Kurume・Tosu Internet Conference

「The Journal of Internet」 Volume6,2001 || H O M E || || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10 || 11

「生活基盤としてのインターネット」

システムラボラトリー株式会社 代表取締役社長
NPO電子認証局市民ネットワーク福岡理事長

外山 吉計

 
皆様の常々の久留米・鳥栖インターネット協議会活動へのご協力に感謝しております。 いよいよ秋口近くになりますと福岡県のギガビットの利用が久留米地域でも開始され、それの活用においては益々協議会の役割が重要度を増すことになってきました。
久留米は、いち早くインターネットを導入したお蔭で地域のプロバイダーやインターネット関連企業等が育ってまいり、それなりのノウハウが蓄積して来ました。
しかし、これを機により一層の地域の活性化に努めなければならないと考えております。
活性化といいましても今までの延長線上ではなく昨今いろんな分野で言われている外部に開かれ、情報の導入発信がしやすい環境作りに再構築する必要があります。
再構築と言っても「場」と「個」の再構築が考えられます。
「場」とは言うまでもなくネットワークの環境作りとか「個」の所属している組織体等の再構築(組織のフラット化や組織体の物理的な制約からの解放)また「場」と「場」の関係の再構築でしょうが、これだけでは仏つくって魂入れずに成ってしまいますので魂に相当する「個」の再構築も重要なファクタになります。
それから「場」と「個」の関係も変化をよぎなくされるでしょう。
インターネットのキーワードはオープン化です。オープン化とセキュリティーはコインの表裏の関係にあります。ただどう表裏の関係を構築して行くかは、その組織体の規模と内容によって進み方は違ってくると思います。
例えば私どもは小さな会社が、一挙にオープン化してしまいましたので今までの組織体の運用管理コミュニケーション等の「問題」「行き違い」が発生し、その度に社内で議論を重ねつつセキュリティとシステムの構築の手直しをやってきました。
つまり上記の「問題」も再構築する課程での抵抗であり、これからのネット社会に合った組織体に変容するシグナルだったのだと思います。
現在は、それらが私どものネットワーク構築、運用管理等のノウハウにもなり 顧客に対しての新しいビジネスソリューションの提案にもなっています。
また、インターネット参加人口が増せば増すほどにセキュリティの重要度も増してきました。インターネットが生活基盤の一つになろうとしている昨今、現実世界と同じようにネット社会でも安心、安全、信頼、信用等の秩序の確立を急がねばならないと思います。

例えば
●本当にあなたは現実に存在する人?――――なりすまし
●この情報は書き替えられてない?―――――――――――――――改竄
●本当にあなたが注文したの?――――――――――――――――――しらんぷり
●この情報、ぬすみ聞きされてない?――――――――――――――――盗聴

等の不安を解消するシステム構築もまたこれからの大事なネット社会基盤作りでありそのような安全が確保されればもっとコンテンツやネット人口も増えるでしょう。
上記のシステムとは「電子認証システム(PKI=Public-Key Infrastructure)」といいます。
政府も政府認証基盤(GPKI )の構築に向けた取組を進めていて平成15 年度までに、民間から政府、政府から民間への行政手続をインターネットを利用しペーパーレスで行える電子政府の基盤を構築すること、具体的な電子申請システムの構築に当たっては、必要な規制緩和、制度改革との同時実施を目指すとしています。
すでにさまざまな商用認証局が、公開鍵証明書の発行を行なっています。日本ベリサイン( http://www.versign.co.jp/)は米国VeriSignの日本法人で、この業界では老舗です。また、エントラストジャパン( http://www.entrust.co.jp/)や、日本ボルチモアテクノロジーズ(http://www.baltimore.co.jp/)などもあります。これらが海外企業の日本法人や海外企業との提携であるのに対し、日本認証サービス(http://www.jcsinc.co.jp)は、富士通/日立製作所/NECにより設立された認証局です。もちろんこのほかにも海外を中心に多くの認証局が存在します。
また、非営利の認証局も立ち上がっています。
NPO CACAnet福岡(特定非営利活動法人 電子認証局市民ネットワーク福岡、http://www.cacanet.org/)は、非営利の認証局を運営する市民団体です。商用ソフトウェアに対してオープンソースで開発されたソフトウェア(Linux)が「ユーザー=自分たち」にとって幸せな利用環境を作ろうとしているように、この団体はインターネットを使う人々の生活の安全と信用の基盤となるPKIを自らの手で作っていくこと、そしてそのための技術開発とPKIの普及を目的としています。平成11,12年に久留米で行ったインターネットフェスタでもデモンストレーションをやっていましたがお気づきでしたでしょうか?
久留米・鳥栖インターネット協議会でも「電子認証部会」なるものを創って、今後PKIの啓蒙とインフラ整備に努めていきたいと考えています。


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