情報用語の解説
■高度道路交通システム(ITS)
交通安全や遅滞緩和の推進を目的としたシステムで、最先端の情報通信技術により、道路交通情報の提供、自動運転、料金の自動収受等9分野で官民共同の研究開発が進められている。すでに実用化されたシステムとして、走行中の車に遅滞情報等を流す道路交通情報システム(VICS)がある。
■アプリケーション
一般にはコンピュータによる情報処理のために作られたソフトウェアを示すことが多いが、場合によっては特定分野の情報処理を行うためのシステムを意味する。
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1994年7月26日にKTTにKARRN久留米NOCが設置され、本校も64kbpsで専用線接続 された。1996年4月からKTTはインターネット久留米を開始し、商用接続の拠点となった。一方、学術系は、1997年8月27日に本校にSINET久留米NOCが設置され、商用系と学術系が分離されたが、物理的な地域ネットワークを継続するために、
128kbpsの専用線で両者を結んでいた。
しかし、128kbpsでは細すぎて現在のインターネットを用いた様々な実験を行うことはできない。そこで、近年急速に発展してきた無線ネットワーク装置を用いて、安価で高速なインターネット環境(無線インターネット)を実現することになり、本年1月18日までに工事が完了した。128kbpsの専用線は、今年度いっぱいで取り外される予定である。
無線ネットワークの長所は、ランニングコストがかからないので安価、場所の移動が簡単、条件が良ければ高速な通信が可能なことなどである。短所としては、障害物に弱い、遠距離の通信には指向性の強いアンテナを用いるため調整が難しい、複数系統の無線LANを用いると干渉を起こしやすいなどがあげられる。本校−リサーチセンタービル間は約2km離れており、見通しは良いが、間にアパートの銀杏の木があって心配していた。しかし、いつの間にか伐採されており、当分の間は、風、霧、雨、雪などの気象条件以外の心配はいらないようである。通信速度や安定性は、これから調査していかなければならない。無線インターネットのデモンストレーションは、インターネットフェスタ2000で行う予定である。
著者の研究テーマは、ロボット制御である。具体的には、ロボットやNC工作機械 などで用いられているサーボモータをコントロールする、メカトロサーボ系の制御が研究の中心である。実際に産業用として用いられているサーボモータとモータコントローラからなる八幡電機精工(株)製のメカトロ実験装置(DEC-1)を用いて、理論の検証などの実験を行ってきた。
1993年11月頃から、久留米・鳥栖インターネット研究会(現協議会)を中心としたインターネット関連の仕事に従事して以来、ロボット制御とコンピュータネットワークとを結びつけた研究ができないかと模索していた。日本ロボット学会誌などによれば、コンピュータネットワークとロボット制御を関連づけた研究は幾らか出始めているようであるが、まだまだ充分ではない。著者の研究室にも昨年度予算で、八幡電機精工(株)製の産業用小型ロボット(Performer
MK3-S)が 導入され、ロボット制御の研究が本格的に行い得る環境が整ったことを機に、そのような研究に着手する予定である。
インターネットフェスタ2000において、両者を結びつけた、無線インターネットを用いたロボットの遠隔操作の実験を行う予定である。この実験は、小中学生を対象にした簡単なゲームを予定している。本校のロボット制御用コンピュータとインターネットフェスタ会場の操作用コンピュータとを無線インターネットで接続する。ロボット制御用コンピュータにはビデオキャプチャカードが挿入されていて、操作者はビデオキャプチャカードでリアルタイムに取り込まれた画像を
見ながらロボットを操作するものである。
このようなロボットの遠隔操作は、スペースシャトルにおいて、日本人宇宙飛行士の 若田光一氏が行ったロボットハンド操作がテレビ放映され、その重要性が一般に認識
された。あのような作業を行うことは魅力的ではあるが、相当の訓練が必要であり、危険も伴うため、短時間に大勢に体験してもらうことはできない。そこで、今回の実験においては操作の内容を単純にするため、街角にあるようなクレーンゲームをロボットを遠隔制御することによって実現することにした。その内容は
1. マウスのボタンを押している間、ロボットの台座が旋回する
2. マウスのボタンを離すと、旋回を止め、アームが伸びる
3. 再度マウスのボタンを押すと、アームは伸びるのを止める
4. 自動的にアームが真下に動き、目標物である旗を取る
5. 旗が取れれば成功で、旗が取れなければ失敗となる
6. 初期位置へ戻る
である。マウスのボタンを押すだけの操作であり、簡単そうに見えるが、画像転送 時間や平面画像での距離感などの影響でかなり難しく、子どもたちだけでなく、大人でも楽しめる企画ではないかと考えているので、是非体験していただきたい。
著者を含めて、多くの人にとっては、コンピュータやインターネットは道具である。今回の実験が、それら道具の可能性を大きく広げることのできる子どもたちへの、小さな手助けにでもなれば幸いである。
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